quelqu'un vous aime

2005-05-12up




『オスカル、王妃さまのご用はなんだったんだ?!』
『先に行け、あとから帰る!』

王妃さまから何かご用を言い付かったらしいあいつの
行く場所といえば、単純に考えるとすぐに判る気がした。
一人で俺にも内緒で行かなければならない先というのは…。

こんな時俺は何も言わないでいいはずなんだ。
だけど。
想いを言葉に出来ない辛さも、届かないやるせなさも
誰あろう俺がいちばんよく知っている。

「知って…」
小さく声に出して言ってみた。

無心に馬を走らせていた事に気付いて軽く手綱をひいてスピードを落とす。
ポツポツと降り出した雨がだんだん量を増していくのに
あいつの姿は何処にもない。

雲行きも怪しくなってきて、このままだと嵐が来る。
そう考えて俺はあいつのケープを取りに帰り
セーヌの脇の街道を走らせていたのだった。
たぶん俺の感が正しければこの道を駆けてくる…はずだ。
濃紺の空から容赦無く降る冷たい矢が脇で流れる河を濁らせていた。

しばらく走ると遥か前方から白馬が近付いてきて
馬上の主は見る見るうちにはっきりとオスカルの形をとった。

「オスカル!」
一瞬の交差でわずかに遅れて俺は彼女の脇に付くと同時に
持って来たケープをかぶらせた。
俺から雨除けのケープを受け取ったその時に
彼女の瞳に美しい色を見つけて一瞬釘付けになる。
切なさに恋心がないまぜになって、彼女のそれを思うと
胸が締め付けられそうなのに
こんなにも優しい気持ちになるのは何故だろうか。

quelqu'un vous aime

何も言わないでいいはずだと自分に言い聞かせて
何が言えるというわけではない…のに。
「なんて言った?」ケープの襟を立てた横顔でオスカルは俺に聞いてきた。
「急ごう、嵐になる前に」
「そんな風には聞こえなかったぞ」
彼女を見ないで前を向いたまま俺は首を振った。
「急ごう…」それだけを口にするのがやっとだった。


FIN
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Somebody Loves You誰かがお前を愛してるよ
急に、唐突にこの言葉が浮かびまして
イメージだけで頭の中で組み立てたというか、、、。
アニメ20話の最後が好きというか、、、(笑)
変わらずお読みいただいてありがとうございます。
タイトルは翻訳サイトでフランス語に訳しましたです。


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